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プロローグ
「川上さん、19週目、順調ですね」
診察を終えた原田先生はそう言って微笑んでくれた。
「これをどうぞ。『エコー写真』です。多分、女の子ですね」
先生はハガキサイズの『写真』を妻の百合に渡してくれた。
その『写真』は妻のお腹の胎児を超音波で撮影したものだ。
白黒で解像度の粗いその『写真』には胎児の両目、お腹、そして両脚も見える。妻はその写真を愛おしそうに胸に抱いた。
数年の不妊治療の末、授かった我が娘に私達は本当に幸福を感じていたんだ。
病院を出ると、未だ冬の気配の残るその日は少し肌寒かったが、見上げると雲一つない真っ青な空が広がっている。
その美しい青空は、私達夫婦と娘の門出を祝ってくれている様に感じていた。
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