エピローグ

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客間に私達を通してデイブさんは話し始めた。 「若い頃、妻と死別した私にはマリーが全ての希望だった。だからマリーがジュンを連れて来た時は本当に腹が立った。日本人のジュンはマリーと同じ、スタンフォード大学を卒業していたが、彼は日本の施設で育ったと聞いてね。だから私は娘の結婚に反対した。しかし、それに怒ったマリーは私の所を去ってしまった。定期的に彼女は手紙を送ってくれていたが、最後の手紙は日本から送られたものだ。それにはこの『写真』が入っていた」 彼が差し出したのは、海が見える公園で母が私を抱いている『写真』だった。 「私はこの『写真』を見て孫が生まれたことを知った。そして二人が日本に居ることを・・。だがその『写真』が入った手紙を最後にマリーからの連絡が途絶えたんだ」 「私は国土安全保障省(CBP)に連絡し、マリーの出入国情報を確認した。やはり日本に出国したまま帰国していないことが分かった。そして日本の警察に捜索願いを出したが、何ヶ月経っても音沙汰なく、痺れを切らして懸賞金を掛けたんだ。それでも彼女を見つけることが出来なかった」 「私は本当に落ち込んだよ。あの時にジュンの生い立ちでなく彼自身を見て判断してあげられなかったのか? どうしてマリーの想いを信頼しなかったのか・・? 結局、マリーは私の所に永遠に戻って来てはくれなかった・・」 そうやってデイブさんは大きく肩を落とした。
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