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母がキッチンでコーヒーを淹れるとテーブルの上に置いていく。
「凛太郎さん、ミルクや砂糖は?」
「あっ、ブラックで。ありがとうございます」
母はコーヒーを配り終わると父の隣に腰を降ろした。
両親が私達を笑顔で見つめている。
凛太郎が意を決して立ち上がった。
「本日は、理紗さんとの結婚のお許しをいただきたく、ご挨拶に伺いました。理紗さんと、これからの人生を一緒に歩んでいきたいと思います。どうか理紗さんとの結婚をお許し下さい! お願いします!」
凛太郎はそう一気に言うと大きく頭を下げた。
父が嬉しそうに頷いている。母は目頭を押さえていた。
「凛太郎君。君なら理紗を幸せにしてくれるだろう。ありがとう。娘をお願いするぞ!」
父が立ち上がり凛太郎に右手を差し出した。二人が硬い握手をしている横で母が両手で顔を押さえて泣いている。
私は母の背後に周り彼女の背中を抱きしめた。
「お母さん、ありがとう。私、幸せになるね・・」
母が何度も頷くのが分かる。元々、涙脆い母だったが、今日は格別だった様だ。
「さあ、二人とも座ってくれ」
その父の言葉に私達は再び両親の向かいに腰を降ろした。
「今日は私達にとっても記念すべき日になった。ありがとう。そして、もう一つ・・。私達は理紗の結婚が決まったらお前の本当の両親のことを話そうと決めていたんだ・・」
私はその父の言葉に目を見開いた。
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