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突然、始まった父の告白に凛太郎も驚いた表情を浮かべている。母は目を腫らして私を見つめている。
「私はあの事故の時、燃え上がる車からお前を助けたが、お前の両親は焼死してしまった。そして私達は百合のお腹の中の娘を喪った」
私は驚いていた。私の足の火傷の跡はその時の傷だったんだ。
「焼死した二人のパスポートや荷物は全て焼失していて、彼らの身元の確認は容易ではなかった。乗っていたレンタカーを借りたのはJun Tadokoroと言う人だったが、アメリカのドライバーライセンスが登録されており、日系アメリカ人だろうと言うのが警察の見解だった。しかし警察がアメリカ大使館に問い合わせてみたが、その名前のアメリカ人は登録が無かった。そして女性の方は一切の情報が無く、全く身元不明だった」
「私達は喪った我が娘の代わりにお前を育てる事を決心した。本当の娘として愛情を注いでな。そしてお前が結婚する時に真実を打ち明けると決めていた」
父の頬を涙が流れ落ちるのが見える。その横で母も大粒の涙を流している。私も初めて知った真実に身体が震えていた。
「事件性の無い交通事故だったから、お前の両親の捜査はあっという間に打ち切られてしまった。そして私は警察からいくつかの証拠品を譲り受けた。それがこの袋に入っている物だ」
私はテーブルの上に置かれた袋を見つめた。
「これら全てをお前に渡すよ。お前の両親の形見だからね・・。これまで私達の娘で居てくれてありがとう。これからは凛太郎君と一緒に幸せになるんだぞ」
私は突然の父の告白に混乱していた・・。でもとても嬉しくて幸せだった。
「お父さん、お母さん。真実を話してくれてありがとう。そして、これまで私を本当の娘として愛してくれてありがとう。うん、私、幸せになるね!」
私は立ち上がると、両親に駆け寄り彼らを抱きしめた。大泣きする私達を凛太郎がオロオロしながら見つめていた。
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