二つの想い。一つの答え

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 そう言って紗季さんは目を細めた。 「高校生のころってさ、毎日が楽しくて、辛くて、色んなことがめまぐるしく起こって、一日があっという間に過ぎていくのに、その中で将来のこととか考えたりしないといけないし、すごく大変。生きるのに精一杯なんだと思う。やりたいこともたくさんあって、でもなにから手をつけていいかわかんなくて、そうしてる間に三年間が過ぎて卒業。学校に通ってるときは早く卒業したいとか勉強が面倒だとか文句ばっかり言ってたのに、それがなくなっちゃうとどうしてあの時ちゃんとしなかったんだろうって後悔ばっかり。自分勝手だよね」  ふふっと口元だけで笑って、一区切りつけるようにコーヒーに口をつけた。わたしもそれにならって喉を潤す。 「わたしも……わたしもいつかそうなるのかな」 「真衣奈ちゃんはやり残したことあるの?」 「どうだろ。今高校生やってるからそこまで考えたことないよ」 「それもそっか。じゃあ年上のおねーさんからアドバイスをあげよう」 「アドバイス?」 「そ。人生なんてあっという間なんだからやりたいことがあったらすぐにやること。どうしようって迷ってる暇があるなら悩む前にやってみる。それで後悔してもやらないよりはいいと思う!」 「アドバイスって割に軽いなぁ。紗季さんのこれからが心配になるよ」  わたしは呆れたように笑った。
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