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第1章:death train(死の列車)
「最後の晩餐になるだろうから食っておけよ」
髭面の軍人は嘲笑いながら
私の頭を叩き、パンを一切れ差し出した。
だけど食欲などあるはずが無い。
恐怖を感じたくないから列車の中だけでも
せめて寝ていようと思っていた私の願いは
叶わなかった様だ。
パンを無理矢理に喉へと押し通すと
隣の席に座っていた白髪の男性が私に
話し掛けて来た。
「お嬢ちゃんだろ?あのアビル盗賊団の
一員だったっていう女の子は。馬鹿だね。
お前さんなんて免罪になるわけないよ。
国営銀行を襲撃したんだろう?
まぁ貧しい奴隷階級出身のあんた達は
金が欲しかっただろうけどなぁ。
無期懲役で一生暮らせるはずだったのに
今日であんたも首を落とされて終わりさ」
その白髪の男性の話しは私にとって
耳障りでしかなかった。
そんな事は言われなくても分かっている。
でも私は親友の無念を晴らしたかったのだ。
蒸気機関の煙を巻き上げながら
私を乗せた列車は駅へと向かう。
目的地が近づくにつれて
『死』の恐怖が私に忍び寄ってくるのを
感じて吐き気がしてくる。
私は列車の窓を開けて嘔吐した。
だからパンなんて食べたくなかったんだ。
おまけに顔は蒸気機関の煙で
汚れてしまった。
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