第3章:ギロチン賭博

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自由競争により拡がり過ぎた貧富の差。 激しい価格競争により労働賃金は 極端に下げられ多くの市民達はマゼッタが 手に入らず生活に困窮(こんきゅう)している。 その不満を市民達は帝国唯一の娯楽である ギロチン賭博にぶつけていた。 人間の『死』を観たくて高揚(こうよう)する者… 大金を手に入れたい者… 賭けに負け越して焦る者… 命乞いする罪人の救命を祈るその家族達… 様々な思惑が(から)まり合いながら 歓声と怒号(どごう)が飛び交う闘技場内の空気を 銅鑼(ドラ)轟音(ごうおん)が静寂へと引き戻す。 今まさに私は生と死の狭間にいる。 命乞いを叫べという合図だ。 恐怖で口の中が乾く 緊張で顔が麻痺した様な感覚になっている。 大声が出るかどうかも分からない。 でも一か八かやるしかない。 私の声が届くように祈りながら 視線を観覧席に座る法務大臣達に合わせる。 大きく息を吸い込み そして私は叫んだ…
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