第4章:理想郷

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王宮の城門が見えてきた。 東側にはオルガナ帝国の経済を 牛耳(ぎゅうじ)る金融街がある。 その街で一際目を引く巨大な建物が 国営銀行である。 あの日、アビル盗賊団は マゼッタを盗もうとしたのではない。 焼き払おうとしたのだ。 帝国中から集められたマゼッタを燃やし お金という価値観をこの世から 消し去りたかったのだ。 アニスはお金と欲望に支配された この世界を変える為に 盗賊として生きることしか出来なかった 彼が出来る精一杯の事を しようと思ったに違いない。 彼の父親の想いを引き継いで…。 香辛料、石炭、宝石、金銀…etc。 豊かな資源に国の繁栄を求める帝国は 周辺諸国への武力遠征を繰返すも 充分な資源を確保出来ず 軍費増強にかかる重い税金と 他国からもたらされる未知の伝染病にも 国民は苦しまされ続けた。 マゼッタが発掘された当時とは違い 経済の発展がすでに限界である事は 誰の目にも明らかだった。
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