第2章:マゼッタ

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第2章:マゼッタ

■ ー『オルガナ帝国』ー 山岳地帯に住んでいた少数民族が (おこ)した私達の国は物々交換によって 人々が暮らす穏やかな国であった。 しかし転機が訪れる。 鉱山王と(たた)えられた先代の国王が 『マゼッタ』と呼ばれる七色に輝く美しい 鉱石を発掘したのである。 国王はマゼッタを大小様々な形に削り それを国内に流通させて食べ物や道具と 交換する仕組みを造り上げた。 『お金』という新しい価値観が 誕生したのである。 お金は帝国の経済を急速に発展させて 『競争』という考えを生んだ。 民衆達はお互い競い合いながら より良い道具、食べ物、そして武器を 大量生産する様になった。 他国を凌駕(りょうが)する文明を手にした帝国は やがて周辺諸国への武力侵略を開始した。 領土拡大に伴い帝国の経済は さらなる発展を遂げる事になる。 しかし一方で経済競争に敗れる民衆も 数多く存在し 私の家族もまたその例外ではなかった。
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