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月明かりに照らされた美しい水平線は
遠くまだ知らない世界を私に
想像させてくれた。
海の向こうには私が見た事もない
生物、民族、風景が広がっているに違いない
世界の果てを見てみたい…
幼い頃に亡くした宗教学者だった
父親の言葉を思い出す。
(この世界の果てには神が治める理想郷がある。
お金に困る事も飢える事も人々が争う事もない
心清らかな人間だけが辿り着ける楽園がある。)
此処ではない何処かへ…
理想郷を想像しながら毎晩の様に水平線を
眺めていた私に話し掛けてくれた
男の子がいた。
深い緑色の瞳に艶やか黒髪のその子は
アニスという名前だった。
薄汚れた服を着ていながらも
どこか気品があり元々は高貴な
身分だったに違いないと私は思った。
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