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鉱山から逃げ出した私達にとって
『生きる事は盗む事』だった。
スラム街に身を潜めた私達はやがて
仲間を集めて盗賊団を結成した。
スラム街の地名から私達は
『アビル盗賊団』と呼ばれる様になった。
自分達を義賊と自負し
富裕層からしかマゼッタを盗まなかったが
結局は犯罪者集団であり
アニスはその事に心を痛めていた。
それでも私にとって鉱山での生活比べたら
よほど良かった。
たとえ今自分がいる場所が理想郷でなくとも…
そんな日々が続いたある夏の朝
アビル盗賊は私を一人をアジトに残して
出ていった。
眠っていた私の枕元にはアニスが
大切に身に付けていた彼の父親から
貰った銀色の首飾りが置いてあった。
そして私は悟った。
アニスは盗賊団が危険な目に合う事が
分かっていたから敢えて
私に何も言わなかったのだと。
彼らはその日、帝国中のマゼッタが
集められている国営銀行を襲撃した。
襲撃は失敗してアビル盗賊団はみんな
軍人に捕まり処刑された。
襲撃に加わらず監獄に入れられ
無期懲役となった私一人を除いて…
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