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第3章:ギロチン賭博
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暗闇の中で聴覚と嗅覚だけが
極限まで研ぎ澄まされる。
今自分が何処にいるのかは想像でしかないが
恐らく舞台裏に居るに違いない。
これからギロチン賭博に掛けられる事は
容易に想像出来た。
灰色駅で列車を下車した後
馬車に乗せられた私達は
全員黒い布で目隠しされ
ここまで連れてこられた。
手足と身体は縄で縛られ
座らされている椅子から動けない。
コツコツと軍人の足音が聴こえると
賭博場に向かう罪人は番号を呼ばれる。
それからしばらくすると
罪人の叫び声が聴こえてくる。
「自分は無実だから助けて欲しい」
「死ぬ前に愛する我が子に一目会いたい」
「私は息子を殺した犯人を自分の手で
殺しただけだ。どうか助けて欲しい」
命乞いの理由は様々であった。
しかしその叫び声が聴こえた後
必ずその罪人の断末魔と歓声が聴こえる…
するとまた次の罪人の番号が呼ばれる
その繰返しである。
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