紙飛行機よ

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紙飛行機よ

 カメラの発祥の地と言われている写真村(しゃしんむら)。  この村第一と言われている写真家、絵崎満寿夫(えざき ますお)。 「うちの大地(たいち)が六年生で卒業するとき、紙吹雪を飛ばして貰ったのも懐かしいな。だったら、この亡くなった大地の写真もそうしてやりたい」  机の上に小さい頃大地が折ってくれた紙飛行機があったのを見付けた。 「これだ。全部飛ばしてしまうと思い出がなくなって悲しくなってしまうから、大事な写真はとっておいて、他の写真は、高い空まで飛ばしてみよう」  マンションの三階に住んでいて、そのベランダから、紙飛行機を飛ばす。 「高く飛べ!」  一枚目は、そのマンションの五階にある屋上まで届いた。  そして、二枚目にも願いを込める。 「もっともっと、もっともっと高く飛んで、空にいる大地に届いて欲しいよ」  十枚目の時には 「翼が生えて、大地の所へ届けー!」  そうしたら、幻覚なのか、その写真がうんと遠くまで羽ばたいて行った。  それを見た絵崎はとても感動して、涙が出て、もう大地が帰って来たようにとても楽しく歌い始めました。  終
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