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カランカラン、とベルの音が鳴りました。その音を聴いて、ハッ、と気がつくと、もう物語の前半が終わろうとしていました。
カフェラテを一口。本を読むときは誰にも邪魔されないのが一番なのですが、適度な休憩も必要です。一気に読んでしまっては、細かな描写を見逃し、考察を怠るというミスを犯してしまいます。
──それにしても、身体がぽかぽかとしてきました。このまま、寝てしまうのも悪くないですね。
背伸びをして、再び本に集中。さて、この子──いえ、私は一体どうなっていくのでしょうか。
『 ……ていた。私はその問いに答えようとすると、丘の向こうから覗く夕陽が、私達を強く照らし出した。
暖かくて、気持ちの良い光だった。
暗闇とは全然違って、心の中にできた無数の棘が、些末なものだと思えるくらい、偉大な光だ。光はどこまでも広がっていって、私たちを飛び越して、街の隅々まで照らして、そのまま遠くまで行くのだ。人々に挨拶をしていくかのように。
──でも、そんな素晴らしいものが、こんな未熟でつまらない私なんかを照らし出したことに、罪悪感を覚えた。
私なんかに、こんな光はもったいない。私のように……』
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