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翔琉の誕生日まで、残り一週間。
俺は翔琉が日常的に使用しているものを、さり気なくリサーチすることにした。
早速、今宵俺のことを迎えに来た翔琉を観察する為にじっと熱い視線を向ける。
ヒントが必ず何処かにあるはずだ。
だから、片時も見逃してはならない。
間違い探しでも始めたかの様に俺は、いつになく翔琉のことを熱心に眺めていた。
当然、煙草を咥えながら運転する翔琉が、怪訝そうにこちらを見つめていたのを俺は知る由もなく……。
俺の頭には一つの良案が閃いていた。
そうだ。
翔琉は、喫煙者だから煙草をカートン買いしたプレゼントもありかもしれない。
あ、でもダメだ。
俺、まだ二十歳未満だからそもそも買えないな。
喫煙具のプレゼントだったらどうだろうか。
そう思って、翔琉の使用しているライターに着目する。
比較的新しい、高級そうなオイルライターを目撃した俺は、翔琉にそれがどのようなブランドのもので、いくらだったのかを聞き出す。
こっそり聞き出したものを携帯電話で調べると、ものによってはそれなりの値段がしてしまうことを知り、俺は力なく肩を落としてしまう。
同時に、喫煙具も二十歳未満は購入できないことを知り、余計大きく項垂れる。
「どの道、両方ムリかぁ」
大きな溜息をついた俺は、窓へ向かってそう独り言ちた。
どうしよう。
良い案だと思ったんだけどなあ。
こんなところで思わぬ年齢の壁を感じ、俺は振り出しへと戻ってしまう。
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