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「颯斗からの熱い視線は別だ。興奮する」
そう言った翔琉の下腹部も、俺の目には布地の下から大きく押し上げているように見えた。もしかするとそれが目の錯覚で、通常時と同様の気もするのだが。
俺の視線は、つい翔琉のそこへと向いてしまう。
「それって……もう、ただの変態じゃないですか」
わざと俺は翔琉に興味ないふりをして、冷たい口調で突っ込み入れる。
本当は俺の方が、変態ではないかと密かに感じているのは分かっていたが。
興奮しているのは、俺の方。はしたないのは、俺の方だと。
だって俺、明らかに翔琉のその布の下にあるものが今、どんな状態になっているか。
鮮明に想像し、欲しいと思ってしまっているのだから。
「そうだな……俺は、颯斗相手だとそうなのかもしれない」
改めてしみじみ告げられてしまうと、俺もそれ以上態度を偽ることはできず、あからさまに顔を赤くしてしまう。
恥じらうようにして目を伏せた俺の左頬へ、翔琉はそっと右手を掛けた。
「その表情、今すぐキスして押し倒したくなる」
グレーの瞳が真剣な眼差しでこちらを見つめる。
俺もそうして欲しい。
言葉通りの展開を強く期待してしまう俺に、残念ながら翔琉はこう言った。
「だが、今日はまず颯斗が俺の浮気チェックをする方が先、だろ? 颯斗が言い出したんだから――」
酷く高揚していた俺は、今更自身の発言が首を絞めてしまっていたことに気が付き、大きく項垂れてしまう。
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