December♡ハピネス

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December♡ハピネス

「え! 翔琉って、歌も唄うんですか?!」 十二月へ入った途端、それは翔琉の家の大型テレビから流れてきた。 毎年、この時期に定番で流れる炭酸飲料のクリスマスバージョンのCM曲を、今年はなんと翔琉と篁が歌でコラボレーションしていたのだ。 元々の持ち歌は、歌姫と呼ばれるR&Bの女性シンガーのものであったが、二人は見事にそれを自分たちのものにしている。 原曲も、ついそのサビを口ずさんでしまう程の良いものだったが、二人のデュエットバージョンはつい聞き惚れてしまう程、とにかく聴かせる系の“良い”の一言に尽きるアレンジとなっていたのだ。 女だったら、たちまち二人のファンになってしまうだろう。 低く優しく甘やかな美声で奏でられるこの曲は、男の俺から聴いてもついうっとりとしてしまう。 「言っておくが、これは別撮りだ。俺があの(、、)男と共演することは、この先一切ない」 俺、高遠颯斗の問い掛けに答えることなく、翔琉はそう断りをいれる。 めずらしくプライムタイムが始まる前に帰宅していた翔琉は、独りでシャワーを浴びムスクの濃い香りをさせ、バスルームから出て来た。 もちろん、上半身は裸で下半身はバスタオル一枚を巻いた状態で、だ。 翔琉の言葉に背後を振り向くと、ギリシア彫刻のような立派な体躯が露わとなっている。 幾度となくその身体に抱かれ、見慣れているはずだったが、それでも俺はついドキドキしてしまう。
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