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「それじゃダメなんだ。颯斗も今年は社会に出る年であるし、そろそろ俺たち二人の未来を真剣に、共に考えてもいい頃だと思っているんだが……」
もちろんこの先もずっと一緒にいるために、と翔琉が呟く。
だからか、と颯斗は納得した。
「──そうですね。俺もこの一年、翔琉と離れ離れでとても寂しかったですから」
はじめて二人で迎えたクリスマスにプレゼントした記念すべき指環がはまったその手を自身の頬へ擦りよせると、颯斗はめずらしく素直に本音を吐露する。
顔を合わせていない間に、颯斗も翔琉とのこれからをあれこれ自分なりに考えた。
少しでも颯斗のことを好きでいてもらえるよう、努力をしよう。
逢えないからこそ、逢ったときは翔琉にストレスを与えないようにしよう。
そして逢えたときは、また二人が逢えるために自分がどれだけ翔琉のことを「好き」なのか全力で伝えよう、と。
背後で翔琉が息を呑む気配がした。
「──それって誘ってるのか?」
びりっと下腹部が痺れる声で問われて颯斗の胸は大きく高鳴った。
あ、ヤバい。
今すぐ翔琉に攫われたい。
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