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その時だった。
玄関の引き戸が勢いよく開いて、颯斗の母が顔を出す。
瞬間、心臓が飛び跳ねそうなくらい縮み上がった颯斗は、咄嗟に翔琉の腕を振り払い、玄関のほうへ振り向く。
「あら、」
含みある上機嫌な声が察したようにそこで口を噤んだ。
颯斗は「龍ヶ崎さんが母様に挨拶したいって」と気まずそうに明後日のほうへ視線を逸らしながら、はすっぱに事実だけを伝える。
「お母さま、お邪魔してます」
立派な社会人然とした立ち居振る舞いでそつなく挨拶を交わすと、隣に並んだ翔琉は恨めしそうに颯斗の臀部を撫でた。
ひっ、と咄嗟に息を呑んだ颯斗が今度は翔琉を恨めしそうに睨めつける。
すると、ニヤニヤしているグレーの瞳と視線が合致してしまう。
嫌な予感しかない。
というか、これはお仕置きを企むときの瞳と同じだ。
そして母が喋っている隙を狙ったように、口パクで「あとで覚えていてくれ」と囁くと、もう一度だけ気づかれないように颯斗の臀部を厭らしく撫でた。
この後、年越しのタイミングで狭い颯斗のベッドのうえでめちゃくちゃに抱かれたのは言うまでもない、お決まりの展開だった。
END
☆2023年も龍ヶ崎×颯斗シリーズをどうぞよろしくお願いいたします♡
久しぶりに長編をお届けできたらいいなあと思っておりますので、もしその際はお立ち寄りいただけたら幸いです!
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