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「ダメだ! 颯斗! 颯斗まで小さくなってしまう! 読者はショタ×ショタは望んでいないはずだ!」
瞬間的に少年が俺のもとへ飛び込んできて、手許から素早くマグカップを奪った。
背伸びをして。
「しょ、た?」
呆然とした颯斗をよそに、少年はそのマグカップを両手で掴むと、あっという間にその中身をキッチンの排水溝へと流してしまった。
「めずらしくファンからのプレゼントを口にしたのが悪かったのか?」
忌々しそうに少年がつぶやく。
その顔は、やはりいつもの翔琉のように見えた。
「頂いたものを口にしたのですか?」
「ああ、そうだ。いつもだったら差出人の顔も分からないようなものはすべて破棄しているのだが、めずらしくマネージャーに持たされて。まあ、コーヒーだしといいかと油断して飲んだらこのざまだ」
むすっとした表情は、言われてみればやっぱり翔琉そのものに見えてくる。
「本当に、翔琉……なんですか?」
恐る恐る颯斗は訊ねた。
むすっとした少年の唇が、さらにむむっと強く引き結ばれる。
「当たり前だろう? だからLINEで颯斗を呼んだんだ」
「でも、いつもの翔琉とはまるで髪色が違うようですが……」
「ああ、この金髪のことだろう?」
翔琉だという少年は、なんてことはないように前髪をひとすくい摘まむ。
そしてすぐさま指を放すと、颯斗へ説明を始めた。
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