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「俺はクォーターだから、幼い頃は先祖返りでこの目の色だけではなく、髪にも血が濃く出ていたんだ。混血ならよくあることだ。めずらしいことじゃない。俺の母親も金色の髪だ」
はじめて翔琉の口から――いや、顔は少年なのでまだその正体を疑ってはいるが――家族について吐き捨てるようにだったが、言及された。
「翔琉の、お母さま?」
言ったあとで、翔琉は渋面を浮かべる。
そうして先ほどの発言を誤魔化すようにグレーの瞳を潤ませ、ねだるように颯斗の腰へとぎゅっと巻きついた。
「それよりも、俺が元の身体へ戻る方法を知りたいから……颯斗お兄ちゃん、ボクに協力してくれる?」
か、かわいい……!
チビ翔琉が、かわいい!
一人っ子のせいか、一人称「ボク」な翔琉は颯斗の庇護欲を大いにくすぐった。
胸がきゅんとなる。
「ねえ、颯斗お兄ちゃん」
相手がハリウッド俳優だということをすっかり忘れ、颯斗は思わずうんと縦に首を振った。
「俺でよければ、なんだって」
運悪く颯斗は、その瞬間グレーの瞳がぎらりと輝いたのを見逃してしまう。
「ありがとう。颯斗お兄ちゃん、だーい好き!」
語尾にたくさんハートマークがついた甘い声で、翔琉が腹部に頬を擦りよせてきた。
いじらしい翔琉の虜となった颯斗は、ブロンドの後頭部を上機嫌で撫でる。
「俺も、大好きですよ」
「……子ども相手だと素直に好きって言うのか。これはしばらく子どもの姿でいたほうが、普段聞けない颯斗の本音を引き出せたり、素直にスキンシップもできて美味しいんじゃないか?」
ぼそっと翔琉が呟く。
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