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八月。午後九時頃。
美佳はSNS上の自身のもつアカウントに一通のDMに気がついた。
いつもなら明宏が美佳の家に泊まりに来ていたがその日、彼に急な出張が入り、独り自宅で静かな週末を過ごしていた。
美佳にはフォロワーが一万人以上おり、専らSNSは情報発信の道具として利用されていた。DMには次のように書かれてあった。
お嬢さんからして見れば、私なんかただの一フォロワーのことでしょう。もしかしたら、このDMをお嬢さんはご自身の細い指先でタップし、スライドさせて文末まで文字を流しますと、あまりにも長さに嫌気を覚え、私の書いた文章を最後までご覧になられないかもしれません。
ですが、お嬢さん、少しだけ辛抱強く見て頂けないでしょうか。これから私は犯してきた罪悪をお嬢さんに告白しようと思っているのでございます。お嬢さんはなぜ、自身には関係のない内容のメッセージを送りつけてくるのだろうとお思いのことでしょう。
ですが、これには深いわけがあるのでございます。私の中のちょっとした出来心がそうさせてしまい、このような結末を迎えたのです。
さて、どこからお話しましょうか。恐らく、すべての罪を洗いざらい吐き出すためには、私の幼少期の頃からお話しなければなりません。
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