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※※※※(パフェ)〜おまけ7~
「はっ、はっ、はっ……。奏、顔を見せて?」
「嫌だっ。」
俺の胸に顔を埋める奏をギュッと抱きしめる。視線を落とすと、肩を上下させながら奏の耳が真っ赤に染まっていた。何度抱いても初々しさは変わらない。そんな奏に俺は夢中。
いや、どんな奏にも夢中だったんだ。初めて出会った時から。17からの10年間は地獄のようだった。あの時、奏の想い人が俺だと分かっていたなら、何か違っていただろうか? 奏の髪にキスを落とす。
「奏?」
身体を少しだけ離して左手で奏の顔を持ち上げる。奥二重の瞼。少しだけ厚めの唇。瞼、唇とチュッと口付ける。治りかけた顔色がまた真っ赤に染まった。
「10年前……俺が俺だと分かっていたら、あの時、奏は俺を受け入れていた?」
「えっ?」
奏が目を見開いて俺を凝視する。額にキスをしても頬にキスをしても、微動だにしない。考えている。
「10年前って……こう君が洸一って分かってたら、ってこと?」
「ああ。」
奏の首から右腕を引き抜き、身体を上向かせる。耳元にキスをすると、奏が身をくねらせた。
「……アン。洸一っ! 今、考えてるんだって。」
「考えて?」
可愛い耳朶を甘噛みする。首筋に舌を這わすと、奏が脚を動かした。
「んあっ……あん……。洸一、ちょっと待って。ちょっとだけ。」
首筋に顔を埋めながら、動きを止める。奏がふうっと息を吐いた。
「俺、あの時こう君が洸一だって分かっていても、やっぱりダメだったと思う。だって、俺が好きになったのは今の洸一なんだ。こう君に嫌な気持ちはなかったけど、やっぱり……うああああっ!」
首筋にジュッと吸い付いたところまでは覚えている。そして、奏の脚を持ち上げて、中に挿れて腰を振ったことも。「愛してる。」うわ言のように何度も繰り返し、何度も果てた。初めてでもないのに、コントロールがきかなかった。
『またやった……。』
気を失うように眠ってしまった奏を見て我に返る。今度は本当に怒られる……か? 目覚めにフルーツパフェを食べさせるか? 最近の奏のお気に入り。オレンジ、バナナ、買ってきたばかりのメロン、いちごもある。今までで1番豪華なものを。
『よし。』
目覚めた後、腰砕けで動けないであろう奏を浴室に連れてって、シャワーを浴びさせて……襲わない保証はしないが、極力セーブして……。そして綺麗になった布団の中でパフェを食べさせて……。
『まずは、シーツを洗濯するか。』
1時間後に目覚めるであろう奏のためにこれからの計画を立てながら、俺の腕の中で眠り続ける奏の髪にそっとキスを落とした。
ー 終わり ー
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