1テンプレ的転移をしました

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「ここは、いったい。私は確か、横からいきなり突っ込んできたトラックにひかれて、即死だったはず。」  カナデは、あたりを見渡した。そこは、どこかの神殿のようだった。床は白い大理石のようなものでできていて、彼女はその上に座り込んでいた。あたりには白い柱が等間隔に何本も立っていた。 「もしかして、私もついに異世界転移することに成功したのかも。」  カナデは、異世界転移・転生物の小説を読むのが好きだった。異世界転移、または転生して、第二の楽しい人生を歩むことを夢見ていた時期もあった程だ。それらの小説の中には、こうして、死後に白い空間に召喚されて、その後に美しい女神か、神様らしき老人が出てきて言うのだ。 『お主に頼みたいことがある。魔王を倒す勇者になってくれ。』  はて、とカナデは首を傾げた。勇者として転移させられるのは、男性が多い。むしろ男性しか勇者として転移させられていない気がした。女性の転移理由として挙げられるのは……。 『聖女として、魔王を倒すのに協力してくれ。』  彼女が口に出した言葉は、誰かの声とかぶさって、見事にはもりを見せた。最初にここに来た時に予想したどちらかに違いない。はもった声から判断すると、女神であると推測する。女性らしい高めの声だが、耳にやさしい声だった。カナデの予想は見事に的中した。 『察しが良い娘は嫌いではないぞ。』  目の前に現れたのは、まさに女神と呼ぶにふさわしい女性だった。金髪のふわふわした髪の毛を床まで伸ばし、瞳の色も黄金色。服装は白いドレスをまとっていた。全身が輝いている。 『いかにも、わらわは、女神と呼ばれる存在だ。さて、さっそく魔王を倒してもらうために協力してもらうぞ。』
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