3町の人々は普通でした

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「私は別に構いませんよ。」 「はあ。どうなっても知らないから。」  二人はあっさりとカナデの同行を認めてくれた。  その後、食料を買ったり、宿を探したりして、日が暮れていく。そろそろ宿に戻るかとイザベラに言われて、一緒に宿についていく。一緒に買い物をしていて、カナデはどうも自分は町の人々に奇異の目をむけられていることに気付いた。 「ええと、まあ、自分の服装と町の人たちの服装を見れば当たり前か。いや、イザベラさんとエミリアさんの容姿が目立っているのかもしれない。」  カナデは自分の服装を確認する。そして、思いついたことを口に出す。 「女性はスカートが標準装備、か。」  そう、女性は老人から子供まで、女性らしき人々はスカートを着用していた。しかし、カナデはスカートをはいてはいなかった。さらに観察していると、女性は髪を長く伸ばしていることが判明した。  カナデの服装は赤と黒のチェックシャツに紺色のパーカーを羽織っていた。下はジーンズを着用している。靴はスニーカーだ。ズボンをはいていることだけでも珍しいのに、さらにはメガネをかけているところも目立っているようだ。観察していると、どうやら、メガネも珍しいということがわかった。あまりメガネをかけている人物は見当たらない。メガネをかけているのは、知的そうな子ばかりだ。もしかしたら、コンタクトという概念もあるのかもしれないが、圧倒的にメガネの割合が少なかった。だからこそ、町の人々はカナデの顔に注目しているのだろうか。 「萌え要素としてのメガネはありそうだが……。そんなことはどうでもいいか。いや、これからの事態を考えると、重要なことのような気がする。」  そう思いながらも、結局のところ、カナデは隣にいる二人の女性が目立っているということに結論付けた。イザベラにも確認されたように、カナデは傍から見たら、男に見えてもおかしくない様だったので、目立つことは無い。確かにこんなに目立った服装と容姿を持つ二人を見たら、ガン見してしまうのも無理はないだろう。無理やり納得させて、カナデは宿に向かう二人の後を追うのだった。
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