4既視感あふれる話を聞きました

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「はあ。」  あまりにもこの世界の地名に既視感が強すぎて、話の内容が頭に入ってこないが、それでも、話をきいておく必要がある。情報は集めておいて損はない。 「魔王の討伐部隊として、女神に選ばれし4人のメンバーが今、首都に向かっているという情報が入っています。」 「教会側がリーダーである「勇者」とその他のメンバー。「剣士」「魔法使い」「聖女」の4人のメンバーで魔王討伐を命じられたのです。そして、そのメンバーのうち、二人が私たちということになっています。」  あらかたの説明を聞いたカナデはまたもや深いため息をつく。魔王討伐はこの際仕方がないとして、この国の名前が意味不明だった。なぜ、自分の以前生活していた世界「地球」のもじりが多いのか。考えても仕方のないことなので、その疑問は後にして、大事なことを質問する。 「それで、説明を聞いて大体のことは理解しました。あなた方二人はその魔王討伐のメンバーに選ばれているということですよね。では、残りの「勇者」もすでにこの世界から選ばれているのでしょうか。」  そう、疑問だったのは勇者が誰だったかということだ。女神によると、勇者も召喚したと言っていた。ただし、まだあっていないということは、どこにいるのか探す必要がある。 「それは、まだわからない。魔法使いと剣士として私たちは教会に呼ばれている。そこで合流することができる。誰かということを今、悩んでいても仕方がない。」  確かにここでうだうだ悩んでいてもらちが明かない。すべては教会についてからだ。カナデは考えるのをあきらめた。考えたところで、そもそも、今まで生きてきた日本での常識がこの世界で通用するのかわからない。それに、すでにいろいろあって疲労がピークに達している。肉体的にも精神的にも限界だ。 「すべては教会についてからですね。わかりました。今日はもう、休むことにします。また、明日よろしくお願いします。」  部屋は二人用だったので、よそ者のカナデは床で眠ることにした。さすがにそんなことはできないと二人は言ったのだが、すでに眠気が勝っていたカナデは床に毛布を借りて、そのまま寝てしまった。
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