2異世界に降り立ちました

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2異世界に降り立ちました

 謎の白の空間から姿を消したカナデは、ある場所に姿を現した。そこには人がおらず、カナデのみがぽつんと立っているだけだった。 「いったい、ここはどこなの。おそらく、女神さまに聖女を要請した国のどこかだとは思うけど。」 「キエー。」  考え込むカナデの前に謎の生き物が現れた。爬虫類のようなうろこをまとった、羽を生やした生き物。カナデは物語の中で嫌というほど目にしたことがあったので、正体はわかっていた。ドラゴンである。まさか、異世界に降りたってすぐ、こんなやばそうな生き物に出会うとは思わなかった。  ものによってはすぐに現れるタイプの話もある。カナデの運が悪かっただけである。カナデは瞬時にこのドラゴンの対処法を考える。そして、何もしないという選択肢をとることにした。たいてい、物語を進めるうえで、最初のモンスターで聖女や勇者がやられるということはまずありえない。  ちょうどよいタイミングで助けが入ると確信していたからだった。その予想は見事に的中した。異世界転生小説を読み込んでいた甲斐はある。 「トウリャー。」  叫び声とともにドラゴンが縦に二つに分断される。分断されたドラゴンはその時点で絶命しているが、さらに追い打ちをかけるようにドラゴンが紅い炎に包まれる。  数分後、丸焦げになったドラゴンの亡骸がその場に残ったのだった。
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