2異世界に降り立ちました

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 エミリアの容姿は、これぞ異世界の住人という色合いを持っていた。つやつやとした銀色の髪を肩まで伸ばし、瞳の色はアメジストのようにきれいな紫。現代の日本ではカラコンにウィッグでコスプレした姿しか見ることはできない。こちらは本物だろう。彼女によく似合っていた。  もう一人のイザベルと呼ばれている女性は、真っ赤な髪にオレンジの瞳をしていた。真っ赤な髪は一つに結ばれて背中で揺れていた。鎧のようなものを身にまとってはいたが、なぜか胸のところがぽっかりと空洞となっていた。そこから胸が丸見えである。これでは、急所を狙ってくださいと言っているようなものだ。  下半身はもっとひどいものだった。下着と同じくらいの短いスパッツに、足はニーハイを履いている。その上に膝までのブーツを履いていた。ただし、太ももが丸出しなので、いざ、足を狙われたら、すぐに出血して大惨事になること間違いなしだ。こちらも、コスプレ会場にしか見ることのできない破廉恥な格好だ。きっと、彼女の職業は騎士とかいうのだろう。女性騎士とかいう奴だ。こんな破廉恥な格好で騎士とは笑ってしまいたくなる。 「はあ。」  カナデは異世界転移、転生物のお約束事を思い出した。 『女性の服装がむやみやたらに露出していること。そして、勇者となる人物に対して、好意を持ち、最終的に転生者である勇者にぞっこんでハーレムエンドだということ。』  その中の、女性の服装が当てはまってしまっている。ということは、近い内に出会うことになる勇者にこの女性たちは惚れてしまうのだろうか。  つい、思ったことが口に出してしまったが、幸い、二人には聞こえていなかったようだ。
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