2異世界に降り立ちました

4/4

88人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
「こんなところで長話も危ないし、あなたも一緒にきますか。これから街にいこうと思っていたところなのです。」  イザベラと呼ばれていた鎧をまとった女性が、カナデに一緒に来ないかと誘ってきた。  「ぜひ、お願いします。ああ、すいません。一緒に行くということなら、自己紹介しなくては。私の名前はカナデと言います。」  カナデは素直に誘いに応じることにした。このままここに居ても、何も進まないと思ったからだ。自分が今どこにいるのか、魔王の情報も聞く必要もある。 「カナデ、ですか。私はイザベラ。こちらの少女はエミリアです。」  カナデが簡単に自分の名前を紹介すると、イザベラも名前を教えてくれた。隣の少女は特に付け足すことなく、カナデにかるく会釈する。  自己紹介が終わったとばかりに二人が歩き出す。慌てて追いかけるカナデ。そこで、驚くべき発言がイザベラから飛び出した。カナデが予想もしていない質問だった。 「カナデと言いましたか。あなたは、どちらですか。」 「どっちと言われても、同性愛者ではないと思いますが、異性を好きになったことも、愛したこともないですし。しいて言えば、二次元を愛する部類のオタクですかね。三次元の人間には興味ありませんし。」  イザベラが問いかけた質問の意味がわからないまま、とっさに思いついた答えを口にするカナデ。しかし、イザベラが発した質問は好きになる趣向を訪ねていたのではなかった。とはいえ、イザベラの疑問は白いローブをまとった少女、エミリアによって解決された。 「この人、女だね。」 「な、初対面の人のどこを触って。」 「男みたいだけど、胸がある。」 「本当ですか。」 「ああ、性別のことでしたか。私はこう見えて女です。」 「どちらかわからずについ、質問してしまい、申し訳ありません。エミリアも、いつまで他人の胸を触っているつもりですか。」  聞いた本人であるイザベラは、慌ててカナデに謝罪した。エミリアもしぶしぶカナデの胸から手を離す。しかし、手を離したエミリアはそれ以降も興味津々にカナデを見つめていた。  町につくまでの間、三人は特に会話なく黙々と歩き続けた。カナデはいたたまれない気持ちになりながらも二人の後を追うのだった。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加