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第1話『Courtship demon』
「死人は夢を見ない」
そよ風の澄んだ匂いとともに運ばれたそんな前触れのない言葉が少年の肩を止める。それを目にしたか否か、背後の少女は自然に目元を綻ばせていた。
蒼穹の空に掛かった白い絨毯が秋風に揺られ、地面の濃淡を演出している。
「急にどうしたんですか」
目線はそのままにした状態でぶっきらぼう茶柱が応える。彼女はそれを特に気にした様子もなく、大きめに息を吸って小さく身震いした。
「読んでる本に書いてあったんだけど、気になったから口にしてみただけ」
肌寒くなってきたこの頃、着用したばかりのセーターはごわごわしていて、ちょっぴりむず痒い。テスト終わりの今日はいつもより早い放課後が訪れ、私はいつものように後輩の茶柱と校内に残って、こうして秋の空を眺めていた。
四方に囲まれたフェンス越しに見えるグランドでは、運動部の練習姿が目に移る。
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