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その日の放課後、俺は運動場にいた。
「大惺ごめんなぁ!自主練、頑張れよ!!」
俺の親友、村本凌久はそう言うと、手を振りながら、走って帰っていった。
いつもなら、2人で残って練習してるのだが、今日は母親の誕生日らしく、先に帰ったのだ。
いつもなら、あっという間に過ぎていく練習の時間。
今日は凌久が居ないからか、1秒1秒が長く感じた。
「今日はやる気出ないなぁ。そろそろ、終わるか。」
いつもなら、1時間自主練をするのだが、今日は30分で終わった。
時刻は7時30分。
太陽は沈んで、月が顔を出していた。
「今日は1人かぁ…。」
いつもなら、凌久と2人で電車に乗り、凌久の1つ前の駅で降りていたため、寂しくはなかった。
しかし、今日は凌久が居ないから、1人で暗い道を帰ることになる。
俺はとても心細かった。
「はぁ…。帰るか。」
俺はそう呟くと、下駄箱から靴を取った。
その時だった。
「うっ、うっうう~…。ひくっひくっ。」
誰かの声が聞こえたのだ。
それも、とても悲しんでいるような声だった。
「こんな時間に誰かいるのか??」
いつも、俺と凌久が帰る時は誰もいない。
今日も30分早いからって、この時間までやってる部活は無いはずだ。
俺は疑問に思い、声の聞こえる方へ近づいていった。
すると、1人の女子が泣いていた。
傷だらけで、なんか見覚えある顔だった。
ま、まさか!!
俺と同じ駅から通ってる、あの子か!!
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