交換日記の始まり

3/4
前へ
/4ページ
次へ
その日の放課後、俺は運動場にいた。 「大惺ごめんなぁ!自主練、頑張れよ!!」 俺の親友、村本(むらもと)凌久(りく)はそう言うと、手を振りながら、走って帰っていった。 いつもなら、2人で残って練習してるのだが、今日は母親の誕生日らしく、先に帰ったのだ。 いつもなら、あっという間に過ぎていく練習の時間。 今日は凌久が居ないからか、1秒1秒が長く感じた。 「今日はやる気出ないなぁ。そろそろ、終わるか。」 いつもなら、1時間自主練をするのだが、今日は30分で終わった。 時刻は7時30分。 太陽は沈んで、月が顔を出していた。 「今日は1人かぁ…。」 いつもなら、凌久と2人で電車に乗り、凌久の1つ前の駅で降りていたため、寂しくはなかった。 しかし、今日は凌久が居ないから、1人で暗い道を帰ることになる。 俺はとても心細かった。 「はぁ…。帰るか。」 俺はそう呟くと、下駄箱から靴を取った。 その時だった。 「うっ、うっうう~…。ひくっひくっ。」 誰かの声が聞こえたのだ。 それも、とても悲しんでいるような声だった。 「こんな時間に誰かいるのか??」 いつも、俺と凌久が帰る時は誰もいない。 今日も30分早いからって、この時間までやってる部活は無いはずだ。 俺は疑問に思い、声の聞こえる方へ近づいていった。 すると、1人の女子が泣いていた。 傷だらけで、なんか見覚えある顔だった。 ま、まさか!! 俺と同じ駅から通ってる、あの子か!!
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加