二人の思い出

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しかし時間を戻せるくらいなら、解呪や蘇生も簡単にできる気がするが。 「すごいな神や仏って、時間を簡単に巻き戻せるなんて」 お世辞の俺の言葉への、精霊の返事は素っ気なかった。 「なんでも、今回の場合は解呪や蘇生よりも時間遡行の方が、効率的で予算がかからなかったそうだ」 お役所仕事か! 見ると俺の横手に、大きな光る輪っかが現れている。 「そこに入れば、当日の事故の前に戻れる。言っておくが…」 俺はためらう事無く、その輪っかに身を投じる! ―気づくと俺は、見慣れた街中の歩道に佇んでいた。 そう、ここは、たしか事故現場にほど近いはずだ。 俺はスマホを取り出す、おお、ちゃんと日にちは間違いなく事故当日! 時間は…、げ、事故まであと10分くらいしかないじゃんっ! 俺は走り出す。 そう、あの忌まわしい事故を止めるのだっ、そうすれば彼女との幸せが… どきりとし、思わず立ち止まってしまう。 いや、『お葉』の呪いは、解けていない! このまま彼女と人生を続ければ、今回の事故は防げても、また同じような災いが?! いや、今は目前の事故だけを考えろ、全てはそれからだ! 再び全力疾走の俺。 ああ、あの交差点だ、間違いない、信号無視の車に彼女がはねられたのは! 大丈夫、時間はまだ五分ほどある。彼女はあちらの道から来るはず―、あっ! 俺は見る、彼女が、前と変わらぬそのままで、歩いて来るのを!
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