二人の思い出

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突っ走る俺の横手から、パアアーンッ!、とクラクションが聞こえる。 はっと前を見るが、交差点の信号は青、なのに― えっ、青信号なのに、突っ込んでくる車! しかし全力疾走だった俺は止まれない、交差点に突っ込む―! ここはあの、彼女がはねられた交差点だ、まさか、俺が、その、身代わりにぃっ?! いきなり誰かが俺の脚にタックルした! 地面に倒れ込む!! 迫る車! ―わああっ! 倒れた際に投げ出した両手を俺は慌てて引っ込める!! ゴオオォーッ! ひっこめた俺の指先と頭をかすめるように車が通り過ぎる、いや頭髪の何本かはタイヤにひかれたようだ。 た、助かった―! 俺はしばらく荒い呼吸を続けるのみだった。 情けない話だが、タックルして助けてくれた人に気をまわすのにかなりの時間がかかってしまう。 よろよろと身を起こす俺。 「あ、ありがとうございま…」 俺は眼を疑った。タックルして助けてくれたのは、彼女、だった。 え、ええっ、な、なんで― なんで、彼女があっ?! 交差点の周りにいた人たちが、わらわらと集まってきて、心配そうに声をかけてくれる人もいる。 彼女はそれらに頭を下げて、 大丈夫です、怪我はありませんから、心配させてすみません、 と万全の事後処理をしてから、俺の手を引いていく。
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