二人の思い出

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「あのね、キミがちゃんと考えてれば、私が過去に戻る必要なんてなかったんだよ?」 「まず、キミの記憶にちゃんとあるでしょ?! 死に際の私の『もう一度、やり直したかった』って言葉!」 「あ、ああ」 「キミずっとそれはどういう事か気になっていた筈だよね。それは何処に消えちゃったのかな?」 「その、ごめん…」 「それが残ってれば、簡単に『俺と別れてくれ!』なんて言えないでしょ?!」 「次にっ、私の部屋でキミが見つけたあのアルバム、何故あそこにあったと思ってるの」 「それは当然…」 あれ、何でだったっけ? 「やっぱ、何も考えてなかったね? 私が写真の精霊さんに頼んで置いてもらったんだよ」 「キミと私の前世からの流れを、理解してほしくてさ」 な、なるほど、だから普通のアルバムとは逆の、時系列が遡っていくようになっていたのか。 「そして最後! 写真の精霊さんの説明も聞かずに、タイムリープに突っ込んだでしょ!!」 せ、説明? あ、そういえばあのオッサン、俺が飛び込む前にチラと、「言っておくが…」なんて…、まさか、アレ? 「ほんとうにキミは思い込んだら一直線、まあ、そこがいいんだけど」 「そこまでの経緯も、呪いの事も詳しくおさらいしてくれる筈だったのに」 えっ、ああ!、そうだ呪い!! 「で、でも、呪いは、『二人の幸せな笑顔に呪いあれ!』だっただろ、それがこれからも、積み重なっていくなんて…」 俺の心配を彼女は笑って吹き飛ばす。 「なーんだ、そんな事心配してたの?」 絶句してしまう。一番の心配事だろ! 「おい、そんな事って―」 「大丈夫っ」 本当に彼女の笑顔は、そう思わせてくれる、けど… 「呪いは『写真の』二人の幸せな笑顔に、だったでしょ?」 「え…、ああ、そうだけど?」 「なら、『こう』すればいいんだよ…」
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