二人の思い出

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誰だよそれ、という前に写真の精霊の横に浮かぶ人影。 どうやら『お葉』の画像を示してくれたようだ。 小柄で着物を着た、人形のような、しかしその瞳は不気味な程大きな娘―! い、いや、見た事がない筈なのに、何だこの心のざわつきは?! 「やはりあなたの意識にひっかかるものがあるのだな」 ずばり言われ、俺はうろたえつつ返す。 「つ、つまりそいつが、この写真を引き裂いて、呪いをかけたというのか?」 「そのとおりだ」 う、何だか、おかしな雰囲気になってきたぞ。 だって、写真を引き裂いて「呪ってやる!」って、どう考えても、ドラマにあるようなドロドロの三角関係とか、じゃないか? まさか、明治時代とかの俺が、昔の彼女とその『お葉』とかを二股にかけた結果、とかじゃないだろうな?! 俺は『お葉』とかいう娘の記憶を必死に探り出そうとするが、何も出てこない。 まあ、生まれ変わる三、四代前の記憶が、ホイホイ出てくるほうがおかしなことではあるが…。 「なあ、写真の精霊さん。その『お葉』さんに、俺は何か酷いことしたのか? そんなに恨まれるなんて」 俺はおそるおそる尋ねる。 「いや、何もしていない」 「えっ?! あ、まさか明治時代の彼女のほうが『お葉』さんに何か酷い事したとか?」 「それも違う」 …話が読めない。
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