1人が本棚に入れています
本棚に追加
誰だよそれ、という前に写真の精霊の横に浮かぶ人影。
どうやら『お葉』の画像を示してくれたようだ。
小柄で着物を着た、人形のような、しかしその瞳は不気味な程大きな娘―!
い、いや、見た事がない筈なのに、何だこの心のざわつきは?!
「やはりあなたの意識にひっかかるものがあるのだな」
ずばり言われ、俺はうろたえつつ返す。
「つ、つまりそいつが、この写真を引き裂いて、呪いをかけたというのか?」
「そのとおりだ」
う、何だか、おかしな雰囲気になってきたぞ。
だって、写真を引き裂いて「呪ってやる!」って、どう考えても、ドラマにあるようなドロドロの三角関係とか、じゃないか?
まさか、明治時代とかの俺が、昔の彼女とその『お葉』とかを二股にかけた結果、とかじゃないだろうな?!
俺は『お葉』とかいう娘の記憶を必死に探り出そうとするが、何も出てこない。
まあ、生まれ変わる三、四代前の記憶が、ホイホイ出てくるほうがおかしなことではあるが…。
「なあ、写真の精霊さん。その『お葉』さんに、俺は何か酷いことしたのか? そんなに恨まれるなんて」
俺はおそるおそる尋ねる。
「いや、何もしていない」
「えっ?! あ、まさか明治時代の彼女のほうが『お葉』さんに何か酷い事したとか?」
「それも違う」
…話が読めない。
最初のコメントを投稿しよう!