二人の思い出

7/15
前へ
/15ページ
次へ
「あの、すみません。じゃあ何で彼女と俺はそんなに恨まれたんですか?」 「彼女はいきなり…」 写真の精霊は苦々しく言う。 「あなたと彼女の婚約の席に乱入してきて、写真を破り捨てたのだ」 「ど、どうして…?」 「わからない」 …なんですかあ、それぇっ?! 「伝え聞く話では、たしかにあなたとの見合い話だけはあったらしいのだが…」 えっ、話だけ? 「当時はとても珍しいあなたの『見合い写真』を一日中眺めては、なにかをぶつぶつ呟いていたらしい」 げっ、それって… 「見合いの話を、その娘なりに、その、勝手に解釈した、というか…、『お葉』の中ではいつの間にか、あなたと幸せな結婚をして赤い屋根の洋館に住み、子供も七人できていた事になっていたらしい」 「それって、もしかして典型的なメンヘラ?!」 つい俺は叫んでしまう。 「なんじゃと?」 「あ、まあ、主に心に病気を抱えた人について使われる言葉なんだけど…」 写真の精霊は、力いっぱい頷く。 「その通りだっ!」 うわあ、160年前のメンヘラの呪いなのかよ、これは?! 「聞けば、『お葉』の家は、この国の北部に代々伝わる巫女の系統だったらしいが、彼女の代には没落して、都の親戚を頼っていたそうだ」 「…は、はあ」 「だから霊感は人一倍強かったのだ」 「…だからといって人を簡単に呪っていいわけないだろ!」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加