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「あの、すみません。じゃあ何で彼女と俺はそんなに恨まれたんですか?」
「彼女はいきなり…」
写真の精霊は苦々しく言う。
「あなたと彼女の婚約の席に乱入してきて、写真を破り捨てたのだ」
「ど、どうして…?」
「わからない」
…なんですかあ、それぇっ?!
「伝え聞く話では、たしかにあなたとの見合い話だけはあったらしいのだが…」
えっ、話だけ?
「当時はとても珍しいあなたの『見合い写真』を一日中眺めては、なにかをぶつぶつ呟いていたらしい」
げっ、それって…
「見合いの話を、その娘なりに、その、勝手に解釈した、というか…、『お葉』の中ではいつの間にか、あなたと幸せな結婚をして赤い屋根の洋館に住み、子供も七人できていた事になっていたらしい」
「それって、もしかして典型的なメンヘラ?!」
つい俺は叫んでしまう。
「なんじゃと?」
「あ、まあ、主に心に病気を抱えた人について使われる言葉なんだけど…」
写真の精霊は、力いっぱい頷く。
「その通りだっ!」
うわあ、160年前のメンヘラの呪いなのかよ、これは?!
「聞けば、『お葉』の家は、この国の北部に代々伝わる巫女の系統だったらしいが、彼女の代には没落して、都の親戚を頼っていたそうだ」
「…は、はあ」
「だから霊感は人一倍強かったのだ」
「…だからといって人を簡単に呪っていいわけないだろ!」
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