二人の思い出

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「実はあまりにも可哀そうだ、と珍しく『上』からも話が出てな」 「『上』…、なにそれ?」 俺の質問に、老人の顔に何故かためらいが浮かぶ。 「あ、まあ…、いわゆる、神や仏といったたぐいのものだ」 「えっ、そんなの、本当にいるんだ!」 すみません、さっき『神も仏も無いのか、畜生』と言ったの、無しでお願いしますっ。 「じゃあ呪いを解いて、彼女を生き返らせてくれるの…」 よろこぶ俺に、被せるように精霊は言う。 「無理だ」 「なあっ?!、どうしてできないんだよ、神様仏様だろ!」 やっぱ、さっき『神も仏も無いのか、畜生』は有り、だなっ。 「そんな事が今できるなら、あなた達のこの不幸もとっくに解決できていた筈、と思わないかね?」 「…開き直りやがった」 「これが現実なのだ、神や仏でも万能ではない」 「ああ、もうっ、結局のところ神様仏様はどうしてくれるんだ?」 「彼女が死んだ当日、事故に遭う前に時間を戻してくれるそうだ」 「…えっ、時間を戻す? タイムリープってやつかっ!」 おお、カッコいいじゃん、まるでラノベの主人公のようだな! しかし昔のラノベかマンガかのシーンが、ふと思い浮かび、俺は冷たく言い返す。 「それって、戻ったはいいけど、結局どうやっても事故は防げなくて無限ループしちゃう、なんてオチだろっ!」 「神や仏はそのようなウケは狙っていないから、安心しろ」 苦笑いの写真の精霊。 「ちゃんと今の記憶を持ったままなので、事故は普通に回避できる。何も問題は無い」
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