救出 三時間半のカーチェイス

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十三時 十分 新潟バイパス 黒崎インター付近  小野はパトカーの後部座席から降り、電子タバコの火を着けた。女は車を飛び降りSUVへと駆け寄った瞬間を取り押さえられ、そのまま連れていかれたらしい。SUVの助手席に乗せていた吉田が、手配してもらった救急隊によって搬送されてゆく。自身のSUVへ歩み寄ると、小野は労うようにボンネットを軽く撫でた。  今にして思えば、なぜこんな目に遭っているのか甚だ疑問でしかないが──とにかく、一件落着だろう。そう安堵しながら煙を吐き出すと、ポケットの携帯が突然鳴った。 「はい、小野です」 「小野君? 奥田だけど」  店長だ。今回の一件のきっかけはコイツだった。 「店長? 吉田のことなんですけど──」  そう言いかけた小野を、店長の声が遮る。 「昼から入ってる松田君が風邪ひいて休むらしいのよー。悪いけど、今から入れる?」  小野の身体が、携帯を耳に当てたまま固まる。回る赤色灯、焼け付いた車、調書の続きを取るために近づく警察官──そして暫くの沈黙の後、小野は心の底から空に向かって叫んだ。 「無理にきまってるやろがああああああ!!!!!!!!」
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