救出 三時間半のカーチェイス

3/10
前へ
/10ページ
次へ
十時 二十分 新潟市 某所  小野は店長から教えられたアパートの前へ自前のSUVを停めた。二階建てのうち一階の隅が吉田の部屋らしい。駐車場には吉田の赤い車が停まっている。 「ここだな」  備え付けられたインターホンを鳴らす。すると擦れた女性の声が聞こえた。 「……はい」  恐らく、吉田の言っていた”彼女”だろう。 「あ。すいません。吉田クンのバイト仲間なんですが、吉田いますか?」 「いません」 「お出かけ中ですか?」 「……」 「どこに行ったとか、いつ頃戻ってくるとか知りません?」 「……」  長く続く沈黙に、嫌な予感が働く。「じゃーどうしましょうかねぇ」と言いながら、吉田の携帯へ電話を掛けてみた。すると、部屋の中から着信音が聞こえる。 吉田は 中にいる……?
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加