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やはり他車がいる中で走る状況は危険だ。かといって停車すると女の車に殺されかねない。小野はさらにアクセルを踏み込んだ。
「警察車両が間に入ります。確認したら徐々に減速してください」
イヤホンの声を聞き、サイドミラーを覗き込む。警察車両が二台増えている。その反面一般車両は消え失せていた。三台のパトカーが速度をより速めた。やはり警察車両というだけあって、型落ちの乗用車など簡単に追い抜いてしまった。そして一台はSUVを追い抜き、小野のすぐ目の前を被せ、徐々に速度を落とし始めた。小野も応じて速度を落としていく。間に入った二台のパトカーは女の乗用車の行く手を阻むように速度を落としてゆく。そして一分と経たないうちに、小野のSUV、女の赤い乗用車、そしてパトカーは広いバイパスの真ん中に停車した。小野はSUVから降り立つと、両手を頭の上へ掲げた。
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