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心霊写真
僕の名前は二色新(にしきあらた)19才の大学生。
僕は今、とある心霊スポットに友達3人と来ていた。
しかしこれが、僕の今後の人生を大きく揺るがすことになるとは夢にも思わなかった。
数時間前、、、
「おう新、今日もお化けは見えてんのか?」
校内を一人歩いていた僕に背後から飛びつき声をかけてきたのは、友達の中島大翔(なかじまたいが)。
「危ないから急に飛びかかってくるなよな。それに、何回も言ってるけど僕の霊感はそんな大層なものじゃないから」
大翔が言っている、お化けが見えるのか?という質問は、あることが切っ掛けで始まった質問。
今になっては質問と言うより、挨拶代わりになっており、正直僕はうんざりしていた。
「だってよ、あんなもん見せられたら誰でも信じるだろ?
ここに何か感じるってお前が言った所写真に撮ると、百発百中で何か写るんだからさ」
「だから、あの新歓コンパのことだって何度も言ってるだろ?たまたまだよ、たまたま」
そう、あれは僕が大学に入りたての時のことだ。
昔からカメラが好きだった僕は迷わずカメラ同好会に入り、そこで大翔とも出会った。
そして、同好会で新入生を歓迎するコンパが近くの川で行われ、そこでカメラの撮影大会も開かれた。
その時、一人の先輩がその川でのちょっとした怖い話を急にし始め、いつしか大会のテーマが心霊写真を撮影になっていた。
その雰囲気に僕は少し嫌な気持ちになった。
何故ならば、僕には少しだけ霊感があったからだ。
別に霊が見えるとかではなく、ただ何となく感じる程度で、それによって身の上に何か起きたことはただの一度もない。
けれど、不用意に近寄れば何か悪いことが起きそうで、霊を感じる場所にはなるべく近寄らないようにしていた。
だが、嫌な気持ちを晴らすように、未成年ながら酒を飲んでしまい、飲み慣れない酒に悪酔いをし、気分が良くなった僕はこう言ってしまった。
「実は僕~、霊感があるんですよ~」
それを聞いた周りの皆は、冗談だと思いながらも面白がり、霊はどこだとこだと聞かれ、あそこです。今度はあっちです。みたいな感じでベラベラと言ってしまった。
そして、僕が指差した場所をカメラ出とると、全ての写真にボンやりと何かしらの影が必ず写し出されていた。
あまりの的中率に皆引いてしまったようで、それ以上の撮影はされず、僕の周りは僕に霊の話をする人はいなくなった。
まぁ、大翔は別だが。
「まぁーたまたまでも何でもいいよ。でさ、実は相談があるんだけど」
「嫌だよ」
「おいおい、まだ何も言ってねーじゃん!」
「どうせ、心霊スポットに一緒に来いって言うんだろ?」
「げ!何故バレた?」
「だって、お前。めずらしくカメラ持ってきてるじゃん」
実はそのコンパの件で僕はカメラ同好会をすぐに辞めた。
そして、何故だか大翔も一緒に辞め、辞めた後も俺とはつるんでくれている。
僕は元々カメラが好きであるため、よく学校にもカメラを持ってきていたが、大翔は違った。
大翔が何故カメラ同好会に入ったのかと言えば、先輩が可愛かったかららしく、カメラにはそれほど興味がなかったようだ。
だが、写真に霊が絡むと話は別らしく、カメラを持って僕の前に現れるのは決まって心霊写真を撮りに行くときだった。
「なぁー頼むよ」
「嫌だって言ったら嫌だ。てか何でそんなに心霊写真なんか撮りたいんだよ?」
「それは、その、、、。男のロマン?」
「バカバカし。じゃ、またな!」
「おい、新!ちょ、ちょい行くなって!」
「なんだよ、しつこいぞ!」
「たく、本当にお前は頑固だな。
そんなんじゃ、千尋(ちひろ)ちゃんに嫌われちゃうぞ」
「ち、千尋ちゃんは、今は関係ないだろ?」
「いや、関係あるね。今や男女平等の時代。男がふんぞり返る時代はもう終わった。これからは、お前のような頑固親父のような考え方では結婚できないぞ」
「け、結婚!?な、何で千尋ちゃんの話から結婚の話になるんだよ?」
「いや、だってなあ。何て言うか、、、。
ねえ、千尋ちゃん?」
「ねえ、千尋ちゃん?って。お前、何言って、、、」
「私が何?」
僕は後ろから聞こえた声に、恐る恐る振り返る。
すると、そこには紛れもない、千尋ちゃん本人が立っていた。
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