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第五話 メリーさんとツメ
「おい、敏也! それ、やばいやつじゃないか? あれだろ、あの前に流行った……?」
嬉々とする敏也の背にノブオは声をかけた。
「おお、知ってたか!? そう“ひとりかくれんぼ”だよ! ただしトリセツによると“ひとりかくれんぼモドキ”だそうだ。ひとりかくれんぼを応用した儀式だって。必ずしも一人でやらなくていいらしい、よかったな!!」
熱心に説明書を読む敏也はそれから目を離すことなく答えた。
ノブオには何がよかったな、なのか全く腑に落ちない。
「えぇ……俺、嫌だよ。ひとりかくれんぼなんて、しかもモドキなんて……」
そっとしゃがんで、ノブオは箱の中をのぞいてみた。すると、中の人と不意に目が合った。
「おゎっつ!!! おぉ……びっくりした!!! なんだよ、この妙に魂のこもってそうな生々しい人形は……」
それは手足のスラっとしているビニールの人形だった。よく女の子が着せ替えなどして遊ぶ、昔からある定番のビニール人形だ。
でも、とても新品には見えない。
「なんか髪もざんばらに切られちゃって、すごい年季が入っているというか……かわいそうだな」
手に取った人形をまじまじと見ながらノブオは言った。
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