第五話 メリーさんとツメ

1/3
前へ
/169ページ
次へ

第五話 メリーさんとツメ

「おい、敏也! それ、やばいやつじゃないか? あれだろ、あの前に流行った……?」  嬉々とする敏也の背にノブオは声をかけた。 「おお、知ってたか!? そう“ひとりかくれんぼ”だよ! ただしトリセツによると“ひとりかくれんぼモドキ”だそうだ。ひとりかくれんぼを応用した儀式だって。必ずしも一人でやらなくていいらしい、よかったな!!」  熱心に説明書を読む敏也はそれから目を離すことなく答えた。  ノブオには何がよかったな、なのか全く腑に落ちない。 「えぇ……俺、嫌だよ。ひとりかくれんぼなんて、しかもモドキなんて……」  そっとしゃがんで、ノブオは箱の中をのぞいてみた。すると、中の人と不意に目が合った。 「おゎっつ!!! おぉ……びっくりした!!! なんだよ、この妙に魂のこもってそうな生々しい人形は……」  それは手足のスラっとしているビニールの人形だった。よく女の子が着せ替えなどして遊ぶ、昔からある定番のビニール人形だ。  でも、とても新品には見えない。 「なんか髪もざんばらに切られちゃって、すごい年季が入っているというか……かわいそうだな」  手に取った人形をまじまじと見ながらノブオは言った。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加