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「何を言ってんだ!!! こちとら全財産はたいてんだよ!!! 現金をわざわざ下ろしてから振り込んでやったさ、全財産をな!!! フンッ!!!」
プチプチプチッ!!!
緩衝材をひねりあげ敏也は絶叫した。
つられてノブオも絶叫する。
「なっ、なんだって!? そんな大層なものを俺は運んで来たっていうのか!? 荷が重すぎるぜ!!!」
「俺はもうどうなったっていいんだ!!! なんなら過去に戻って、こっちに帰ってこられなくなっても全然かまわない!!! いいや、もう過去に住んでやる!!! 倫子と楽しく暮らすんだ!!! おいっ、ノブオ!!! お前がこれを配達したのは、もはや運命だ!!! 俺たちは……」
突然振り向く敏也はノブオの両手を熱く握りしめる。
「俺たちは……運命共同体だぜ、ブラザー……」
そしてモミモミしつつ優しくさすった。
「と、敏也……」
「頼む。一緒に倫子を探そう!!!」
言いたいことを一方的に叫んですっきりした敏也はさっさと箱に向き直る。
「そ、そんな。あの、俺は別に……過去に戻りたいとか、そういうの、ないんですけど……」
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