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あきらめてくれたのだな、とノブオがほっとしたその時……
「えいっ!!!」
急に振り向く敏也は、座っていたノブオの両肩を正面から力強く押した。
「ぎゃっ!!!」
何事かわからないノブオはそのまま後ろにでんと転がる。ノブオの足の裏が天井を向いた。
「手がだめなら足だな!!! 覚悟ぉぉお!!!」
叫ぶ敏也はノブオの足から靴下をはぎ取り、放り投げた。
「なにっ!? や、やめろ!!!」
ノブオは必死に足をばたつかせる。しかし敏也の力は強かった。
「おとなしくしろ!!! でないと俺は何をするかわからんぞ!!! ノブオ!!! ケガだけじゃすまさねぇからな!!!」
ものすごい剣幕と不穏な発言に、ノブオはぴたりと動けなくなった。
「なんだ……足のつめ、すげぇ長いじゃねぇか。ついでだから全部切ってやるよ。ほら、あぶねぇからちゃんと座れ」
天井に両足の裏を向けひっくり返っていたノブオは、上体を起こして再び体育座りの姿勢をとった。
そして促されるまま片方の足をのばすと、敏也はそっと持ち上げその足のつめを切り出した。
パチィン……パチィン……
静まりかえった部屋に、つめを切る音だけが響き渡る。
意外にも敏也の仕事は丁寧で、ノブオの足はすっきりとするのだった。
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