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なんとなく見上げた家の二階の窓に人影があったのだ。しかも確実に目が合った。影は慌てたように引っ込み、留守などではない。
「なんだよ、いるじゃねぇか! 手間取らせやがって!!」
腹を立てたノブオは急いで玄関まで戻ると呼び鈴を連打する。
「スティーヴンさん! スティーヴン・イヤマさん!! 荷物ですよ!! ご在宅ですよね!! いらっしゃいますよね!? 今、二階で俺のこと見てましたよね!? 英語か!? 英語なのか!? プリーズ……プリーズテイクアウト荷物、オッケー!? 請來受到東西吧!! 你的東西,我來給你……送禮物!!!」
足を踏み鳴らしノブオは絶叫した。
「なんで中国語なんだよ!!!」
バンッとドアは開かれ、突然突っ込みが入る。
そしてノブオは思いっきり腕をつかまれると、玄関の中へ引っ張り込まれた。
「いや、英語ができないもので。中国語はちょっと習ったものだから、外国語っていうとつい……って、ああそうだ。スティーヴン・イヤマさんに荷物なんですけども」
言いながら視線を上げると、一段高いところにいる家主と目が合った。
めちゃくちゃ見られている。しかも見開いたその目は真っ赤に血走っているではないか。
あぁ、怒られる……ノブオが覚悟したその時だった。
「ノブオ……? お前、ノブオだよな!? 福田ノブオ!!」
「はっ? 誰?? 誰っ!? いいぃやぁー!! 誰!!!」
突然フルネームを当てられたノブオは驚きのあまりパニックになる。それでも目をぎょろつかせながら家主の顔をガン見しつつ考えるが、全く思い出せない。
はて、この濃いめソース顔のイケメンは誰だったろうか。
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