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「俺だよ!! 意山敏也だよ!! ほら、小学校で同じクラスになったこともあるだろ!?」
意山敏也はノブオの両肩を強くつかむと、前後にガシガシ揺らす。
一段上から急に伸びてきた手にノブオは首を絞められるかと一瞬息を止めた。
「んっ!? はっ、意山……敏……也……おぉ!! 敏也か!! お前、敏也かよ!!!」
思い出した。クラスで一番、いや学年で一番はいくだろうイケメンの敏也だ。大きな二重にすっとした鼻筋、厚すぎないバランスのいい唇からのぞく整った真っ白な歯……そうだ部活で日焼けした肌がかっこよすぎる男、意山敏也じゃないか。
「おぉ、懐かしいなぁ。よく俺が福田ノブオだってわかったな。あぁ、そうだ! 敏也は確か、卒業した後に引っ越していったんだよな? 中学の時には会ってないし……もう四十年ぶり……くらいだな! 本当に、よく気づいてくれたよ!!!」
床に段ボール箱を置いたノブオは感動のあまり、敏也の手を自らの両手で熱く握りしめた。
「実は最近ちょっと……気になることがあって、というか……小学校のアルバムをよく見ててよ。ノブオのことも思い出してたんだ」
さっきまで目を血走らせノブオを凝視していた敏也の視線は不意にそらされ、言葉は急に歯切れが悪くなった。
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