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島の反対側に回ると開けたところで海が見え、大きな石に三人で腰を下ろした。
「疲れた。帰ろう」
「うん、帰るためにはあと半周しないと」
「まじかよ。船呼ぼう」
「そしたら来るまでずっとここに居なきゃいけないよ」
「ええ、もうおしまいじゃん」
二人で一通り皇太を煽った後、優香が腕を伸ばして写真を撮った。またそこに何か写り込んでいると皇太を脅したが、彼は頑なに写真を確認したがらなかった上に僕の手を握りしめ続けていた。そんな僕らを爆笑しながら優香はツーショットを連写で撮った。
「まじでなんか映るかもしれんからやめろって」
「ガチトーンじゃんかわいいなまったく」
再び三人は手を繋いで歩き始めた。小学生の頃から皇太と一緒だという優香は、同じ大学の教育学部で高校の社会科教師を目指していた。こんなかわいい先生がいたら最高だろうなと僕が言うと、彼女は「意外と積極的じゃん」と笑って強く手を握ってきた。なんだか僕も少しハイになっていたのかもしれない。
「なんでこんなとこにいんだよ」
「皇太が連れてきたんだけど」
「それ毎回言ってるからこの人。仲良くなりたい人への可愛さアピールなんだよ」
「ギャップ萌え狙い?」
「そうそう」
「えーあざとー」
「……優香、あとで覚えとけよ」
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