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帰りの橋は皇太が手を繋いだまま走り出したので、三人は深夜に笑い声を撒き散らしながら夜の海の上を駆けた。久しぶりに息が上がる。丁度いい寒さが心地よかった。膝に手をつく優香と目があうと、僕らはまた意味もなく笑った。
「楽しかった?」
「皇太が可愛かった」
「あれ、そっちに目覚めちゃった?」
「なわけ」
さっさと車に乗り込んだ皇太がライトで合図をする。
「中也!さっさと風呂行くぞ」
「あー、そうだった。優香ちゃんは、一人で帰れるの?」
「私はこういうの全然平気だから安心して」
そう言ってまた僕らはハイタッチした。
「中也、さっさと来い!俺を独りにするな!」
「なんか急に偉そうだなあ。優香ちゃんの方乗って帰ろうかなー」
「それいいね」
「ふざけんな」
泣かしちゃまずいもんねと笑いあい、優香に手を振って僕は皇太の車に乗り込んだ。
「さて、たぬきはどうなったかな」
しかし皇太は「んなもんぶっちぎりよ」と言って僕に確認させる暇もなくトンネルを高速で通り過ぎてしまった。一通り笑い終わると僕らはもう昔からの知り合いのような仲になっていたのだった。
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