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沙良と杏莉は、最初は偶然会った時に少し話すぐらいだったが、次第に連絡を取り合うようになり、いつしかお互いに一番の友人になっていた。
これは、沙良にとっては大事件と言えるようなことだった。今まで、杏莉のようなタイプの友達が出来たことはなかったからだ。
沙良は、「テストの点がいつもより少しだけ悪かった」「友達との待ち合わせに数分遅刻した」など些細なことでもうろたえ、落ち込んでしまうような性格だった。
しかし、杏莉はそれを「また次、頑張ればいいじゃん」「次、気をつければいいよ」と明るく軽くフォローしてくれた。授業のディスカッションでも杏莉がまとめ役をやっていると雰囲気も良くなるし、大抵うまくいった。
杏莉の周りにはたくさんの友人がいた。沙良は、そんな杏莉とうまく付き合っていけるか不安だったし、なぜ自分なんかと殊更に仲良くしてくれているのか不思議に思うこともあった。けれど、二人で一緒にいるとそんな気持ちも忘れてしまうほど、二人は気が合った。
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