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春になり桜が咲き揃う頃、私たちの付き合いは二年目を迎えた──。
二年の間に彼からプロポーズを受け、私の左手にはフルオーダーで彼が贈ってくれた指輪が嵌まっていた。
……幸せだなと思う。彼と一緒にいられるだけでこんなにも幸せだなんて、お付き合いが始まる前には思いもしなかったのにと感じる。
夕食の後、夜道を二人で歩きながら、込み上げる幸福感に繋ぎ合った手に少しだけ力を込めると、彼がふと私に顔を向けた。
「……智花、あなたに大事な話があります」
「……大事な話って?」
急になんだろうと不思議に思い、聞き返すと、
「そろそろ式を挙げようかと」
彼の口からそう告げられて、
「……式?」
と、ふいのことで頭がついていかないまま、ぼんやりと呟いた。
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